『ドラグーンの伝説』は、ソニーがオリジナルのプレイステーションでクラシックなターン制RPGのフォーミュラに挑戦する試みとして生まれましたが、特に新ジャンルへの大規模な進出の一環ではありませんでした。この作品についてPlayStationスタジオのベテランである吉田修平氏が語る様子から、野心的なファンタジー冒険が偶然の結果として生じたことが伝わってきます。
吉田氏は、3Dグラフィックスを用いた戦闘や美しいプリレンダリングのCGが魅力的で「次世代のゲームだ」と感じたと語っています。彼は内部チームを成長させる任務を受け、ほぼ無制限の予算で人材を集めることができました。『ドラグーンの伝説』のプロデューサーである吉田氏のもと、プロジェクトの中心的なクリエイティブ力となったのは、スーパーマリオRPGでバトルシステムを設計した長部康之氏でした。
長部氏が加入すると、吉田氏は「新しいRPGを作りたい」との彼の意向を受けて、さらに多くの人材を集めることになりました。日本の開発者が会社を辞めることはまれでしたが、長部氏はそのような稀有な存在でした。スタジオのメンバーは主に新卒者で構成されており、初期段階では予算もありませんでしたが、最終的に『ドラグーンの伝説』のチームは100人に達し、ソニーに1600万ドルの費用がかかりました。
この大規模なチームの努力は、当時美しかった30分のCGIカットシーンに多く注がれました。プリレンダリングされた背景とポリゴンキャラクターは、PS1末期のスクウェアの作品と同等の水準にありましたが、シネマティックな演出が全体のエピックさと贅沢さを引き上げました。また、タイムバトルメカニックも大きな特徴で、これにより戦闘がミニリズムゲームのような進化を遂げました。
吉田氏によれば、アメリカでの販売が好調だったおかげでコストは回収できたものの、続編や精神的続編は実現しませんでした。それでも『ドラグーンの伝説』はPS5でプレイ可能となり、私は心の奥底で続編が作られることを願っています。