ドイツは「平和の配当」に別れを告げ、冷戦後に衰退した軍事力を再構築する最大の再軍備プログラムに突入しようとしている。ドナルド・トランプがトランスアトランティック同盟の弱体化を示唆する中、ドイツの議会、ブンデスタグは憲法の「借金制限」を撤廃した大規模な刺激策を承認した。この結果、ドイツは今後数年間で1兆ユーロを軍事及びインフラに投資できるようになる。
ドイツはかつて経済的な健全性を誇ったが、近年その姿勢は変わり、軍事とインフラへの投資は急減した。特に、NATOが設定したGDPの2%を軍事費に充てる基準には達していなかった。新たな支出計画の承認により、5000億ユーロのインフラ支出が可能となり、防衛支出も1%を超える分は借金制限から解放される。
再軍備の影響はすでに現れており、ドイツの防衛株は急上昇している。投資家は、ドイツの再軍備が他の欧州国への波及効果をもたらすと期待している。しかし、この支出パッケージは長期的な経済変革とはならない可能性もあり、経済の競争力を高めるためには年金制度や税制の改革が必要とされている。
また、ドイツの16の州は均衡予算の義務から解放され、インフラ投資の資金調達が可能になることで、国全体の経済の活性化が期待される。今後は新たな防衛産業やAI、ドローン戦争の分野での進展が見込まれているが、持続可能な成長のためには、構造改革も並行して進める必要がある。