古代630年頃、太陽が砂丘の海に降り注ぎ、キャラバンのラクダが隊列を組んで進んでいる。この場面は、ムアウィヤ(605–680)を中心に、彼の時代のイスラム教徒の戦士たちが描かれる2025年のラマダンTVシリーズ『ムアウィヤ』に取り入れられています。ムアウィヤはスンニ派にとってウマイヤ朝の父として称賛され、シーア派にとってはアリーの敵として嫌悪されています。このシリーズはサウジアラビアのMBCスタジオによって制作され、アラブ世界の俳優たちが出演しています。
このシリーズは、ウマル・イbnアル・カッターブの時代からウスマーンの暗殺、アリーのカリフ時代に至るまでの歴史的進展を描いています。特にアリーとムアウィヤの間の闘争とアリーの暗殺に焦点を当て、ウマイヤ朝の樹立まで続きます。大きな予算にもかかわらず、本作は歴史的誤りや宗派間の対立を助長するとの批判を受けています。
イラクでは、スンニ派とシーア派の間の暴力が続いているため、イラクメディア通信委員会は本作の放送を禁じ、シーア派が多数を占めるイランでも翻訳と放送が禁止されました。アズハル大学は、ムハンマドの仲間の描写について宗教的に不適切だと警告しています。こうした状況の中で、社会の権力構造による歴史の独占が批判されています。
また、シリーズをめぐる議論は、過去の歴史の解釈や文化的アイデンティティに関するものであり、特にアッバース朝の歴史を重視するイラクの人々にとっては、ウマイヤ朝に対する嫌悪感を引き起こしています。批評家たちは、本作における歴史的な不正確さや論理的な矛盾を指摘し、ムアウィヤを美化する手法に問題を提起しています。特に、彼が権力を暴力で奪った事実や、彼の息子ヤズィードに関する記録が欠落していることが強調されています。